[ぷちレビュー]アカデミー賞作品賞など3部門受賞!!『グリーンブック』 60’sアメリカ 天才黒人ピアニストと白人用心棒の友情描く感動の実話 3/1全国公開

 日本時間2月25日に発表された第91回アカデミー賞で作品賞と助演男優賞、脚本賞を受賞した『グリーンブック』が3月1日(金)、福岡市のユナイテッド・シネマキャナルシティ13やT・ジョイ博多などで全国公開されます。60年代初頭のアメリカを舞台に、コンサートツアーを巡る天才黒人ピアニストと、タフな白人用心棒の友情を描く感動の実話。ロードムービーにしてバディムービー! この作品に出会えてよかった。心からそう思える作品です。

 まずはストーリーのご紹介を。

 1962年、ニューヨーク。一流ナイトクラブ「コパカバーナ」は改装で一時閉店となり、用心棒を務めるイタリア系のトニー・“リップ”・バレロンガは、妻と息子のために日銭稼ぎの仕事を探し始めた。武骨で無教養ながらハッタリが利き、腕っぷしが強く、家族や親戚から頼りにされる存在。白人労働者階級の出身で、黒人に対する偏見を持つコミュニティーで育った。紹介を受け、クリスマスまで2か月間、中西部・南部を巡るコンサートツアーの車の運転手を務めることになった。雇い主は、孤高の黒人天才ピアニスト・作曲家、ドクター・ドナルド・シャーリー。複数の博士号を持つインテリでもあり、ケネディ大統領のためにホワイトハウスでも演奏した時の人だ。その彼がなぜ今、黒人差別が色濃く、危険もはらむ南部にあえて足を運ぶのか。対照的な二人は、黒人が利用できる施設を記したガイドブック「グリーンブック」を携え、ツアーに出発する――。

 監督はコメディーの名手として知られるピーター・ファレリー。自らも務める製作・共同脚本に、主人公トニーの息子でプロデューサーや監督、脚本家、俳優として活躍するニック・バレロンガを、共同脚本にブライアン・カーリーを迎え、アカデミー賞脚本賞を受けた脚本は洗練を極めました。黒人差別という大きなテーマを扱いながらも大上段にならず、当時の社会や市民の様子を淡々と描写。あくまで等身大の男二人の体験を通して、ユーモアとペーソスあふれるストーリーを軽やかに展開し、それによってナチュラルに、しかししっかりとメッセージを届けることに成功しています。

ピーター・ファレリー監督
© 2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC. All Rights Reserved.

 主人公のトニー役は、ヴィゴ・モーテンセン。世界的大ヒット作『ロード・オブ・ザ・リング』(2001~03年)三部作のアラゴルン役で人気を得た個性派俳優は、本作のために体重を14キロ増やし、タフなキャラクターをダイナミックに、それでいて繊細に演じました。シャーリー役は、『ムーンライト』(16年)に続き本作で二度目のアカデミー賞助演男優賞を受賞したマハーシャラ・アリ。華やかなステージに立つ一方で、複雑なコンプレックスを抱える役柄を、静かな情熱をたたえた演技で表現しました。

映画「グリーンブック」_トニー役ヴィゴ・モーテンセン
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映画「グリーンブック」_シャーリー役マハーシャラ・アリ
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 言葉使い、考え方、服装、好物……。ニューヨークの下町・ブロンクスで生まれ育ったトニーと、カーネギー・ホール上階の高級マンションに住むシャーリーは、何もかもが正反対。当初は互いのマイルールを譲らず、“衝突”を繰り返します。そのズレが笑いを誘い、軽妙な会話が物語にリズムをもたらします。トニーのガサツな庶民感はエネルギーに満ち、シャーリーの隙のないスノッブさにはピュアを感じます。そしてどちらも、つっこみどころがある(笑)。気づけば二人に興味を持ち、一緒にファニーな旅を始めた気分になります。

映画「グリーンブック」
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 ニューヨークから中西部、そして南部へ。二人は車でツアーの旅を続けます。シャーリーは、巨匠ストラヴィンスキーから「神の域の技巧」と絶賛された音色で人々を魅了。トニーは用心棒らしく、シャーリーにふりかかるトラブルの数々を見事に解決します。互いに理解し、敬意を抱き、そしてバディになっていく――。そのスタイリッシュなエピソード展開と爽快さには心が浮き立ちます。この多幸感を“演出”するのは、夜のシーン。トニーもシャーリーも夜、一人になれば、素の表情を見せます。孤独、内省、純粋……。そこに、わたくしもあなたも自分を見つける。言い換えれば、我々はトニー的な心もシャーリー的な心も抱えながら生きていることに、あらためて気づかされる。そうした感情移入を経ているから、バディたちに寄り添うことになるのです。

映画「グリーンブック」
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 心に残ったのは、シャーリーが心を開いていく様子。黒人差別に加え、華やかなキャリアゆえの苦悩、さらにはひそかなマイノリティー性も抱え、居場所を見つけられない……。南部ツアーを敢行する理由には、トニーと同様に胸が震えました。二人が気持ちを通わせていく要所要所の場面は、表情、、会話とすべてが絶妙でした。自分と向き合い、相手のことを考え、何をどう口にすべきなのか、頭の中で反芻はんすうしたあげく、ようやく発される言葉。その重み、輝きをスクリーンで表現するなら、こうでなきゃならない。そんな美しいシーンが続きました。

 いくつもの粋な会話から、あらためて学んだことがあります。人はつらく悲しくても、いや、つらく悲しいときこそ、ユーモアを忘れてはいけない。ユーモアこそが人をリラックスさせ、困難に立ち向かう活力を生み出す――。

映画「グリーンブック」
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 二人の旅はいつしか、笑顔の日々になります。しかし、ツアー最後の地・アラバマ州バーミンガムに、その友情が試される事態が待ち受けていています。その最終盤からエンディングにかけては、んもう、完璧。憤ったあと、痛快さに心の中で快哉かいさいを叫び、意外性にほろりとし、エモーショナルでお洒落しゃれなラストに胸が熱くなることでしょう。特に、ピンチのトニーをシャーリーが……というシーンは、不意な感動に思わず、声が出そうになりました。旅が終わったとき、トニーとシャーリーはそれぞれ何を手にするのか。涙腺注意でご覧ください。

 見どころはほかにもあります。

 例えば、リンダ・カーデリーニが演じるトニーの妻・ドロレスと、シャーリーのちょっとした交流は、ラストを鮮やかに彩り、その伏線回収の妙に脱帽しました。ドロレスはかわいらしく、強く、フェア。60年代はもちろん、今でもアメリカ社会が理想とする女性像のような気がします。また、あえて触れるだけにしますが、終盤のホワイトハウス絡みのエピソードには、胸のすく思いがします。

映画「グリーンブック」
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 当時、一世を風靡ふうびしたアメリカ文化も楽しめます。ビッグなアメ車、大型家電、ホットドッグにフライドチキン、大容量の飲食品、ベースボール、ファッション、R&Bなどの黒人音楽――。作品にはアジア系も含めて様々な人たちが登場し、多民族国家ゆえの摩擦だけでなく、多民族国家ならではの創造力やパワーも描かれているのです。そこには、きらめく「アメリカンドリーム」の風が吹いています。

 人種差別、外国人差別は、アメリカや日本を含む多くの国が抱える古くて新しい問題。その様相はむしろ複雑化している感があります。そんな今だからこそ、シンプルでストレートなメッセージをユーモアで“料理”し、極上のエンターテインメントに仕上げた本作は、世界の多くの人々の胸に届く。そう確信できます。

 アカデミー賞作品賞。わたくしも、バディ気分で喜びをかみしめています。Cheers!

 全国の上映館などの情報は、公式サイト(https://gaga.ne.jp/greenbook/)をご覧ください。

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『グリーンブック』

公開
2019年3月1日
出演
ヴィゴ・モーテンセン(トニー・“リップ”・バレロンガ)、マハーシャラ・アリ(ドクター・ドナルド・シャーリー)、リンダ・カーデリーニ(ドロレス・バレロンガ)ほか
監督・製作・共同脚本
ピーター・ファレリー
製作・共同脚本
ニック・バレロンガ
共同脚本
ブライアン・カーリー
音楽監修
トム・ウルフ
音楽編集・音楽監修
マニシュ・ラヴァル
撮影
ショーン・ポーター
音楽
クリス・バワーズ
提供
ギャガ、カルチュア・パブリッシャーズ
配給
ギャガGAGA★
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