[ぷちレビュー] 映画『jam』 劇団EXILEのメンバー総出演❣️ 疾走感120%で贈る「因果応報」エンターテイメント👊💥 全編「北九州」ロケ🎥 東京国際映画祭特別招待作品 続編制作も発表!!

 劇団EXILEのメンバー9人が総出演した映画『jam』が、福岡市のT・ジョイ博多ユナイテッド・シネマキャナルシティ13ユナイテッド・シネマ福岡ももちなど全国で公開中です。EXILE HIROプロデュースの完全オリジナル作品で、メガホンを握ったのは鬼才・SABU監督。クセのある男3人がそれぞれ体験する「因果応報」を、独特の疾走感、切なさ、おかしみで描いています。ロケは全編、北九州市で実施。第31回東京国際映画祭(2018年10月25日~11月3日)特別招待作品です。

 作品は、同じ街に住む3人の男それぞれを描くオムニバス形式をとっています。その中で、偶然にすれ違ったり、ひょんなことから出会ったりと、互いの人生がつかの間交錯し、微妙な影響を与え合います。

 3人の設定はというと――

 場末のアイドル演歌歌手・横山田ヒロシ(青柳翔)は熱烈な女性ファンに支えられ、ステージでは華やかに輝きながらも、いつも心に空虚感を抱えている。ある日のコンサート終わり。ファンの一人の昌子(筒井真理子)に付きまとわれ、そのまま昌子の自宅に監禁されてしまう。

 タケル(町田啓太)は、瀕死ひんしの重傷を負った彼女の意識回復だけを願って生きている。「善いこと」を重ねれば意識が戻るという迷信を信じ、毎日必死に善行に励むが、なかなかかなわない。ある日、最後の善行として、偶然出会ったやくざ者2人を車に乗せる。

 刑期を終え、シャバに戻ったテツオ(鈴木伸之)は、自分を刑務所送りにしたヤクザに復讐するため、単身で事務所に殴り込みをかける。暴れまくった後、実家に帰ると、迎えてくれたのは亡き祖父の残像を探し求め、「迎えに行く」と言い張る祖母だった。当然、ヤクザの追っ手が迫っていた。

 ヒロシ役の青柳翔さんは、作品に漂うナンセンスなおかしみを体現しました。その意味で効いたのは、冒頭のステージ裏のシーン。気取ってヘアスタイルを整えたりと、付き人の港町(野替愁平)と繰り広げる出演直前のルーティーンは、笑いをこらえるのは不可能でした(笑)。堂に入った演歌歌唱も含め、観客を“つかみ”、作品世界に引き込んだと言ってもいいでしょう。その後も、女性ファンに流し目を送ったかと思えば、監禁されてヒィヒィ状態になり、それでも意外にしぶとかったり……と、『たたら侍』(2017年)でも主役をはった演技力が光りました。印象に残ったのは目。その“表情”だけで心の動きを表現するスキルは、天性のものを感じました。個人的には、<トローンとする系>がつぼでした(笑)。

 町田啓太さんが演じたタケルは爽やかな好青年であり、最もフツーな役柄。なのですが、物語が進むにつれ、ん? え? というシーンが出てきます。言動はまとも。大切な彼女を思う気持ちは真剣。積極的に人助けすること自体は間違ってはいない。だけど、善行一本やりで周りは見えておらず、“洗脳”状態にも映ります。で、だんだんと、逆に最も……と思えてきます。極めつきは、病院のベッドで眠り続ける彼女の唇に、リップクリームを塗ってあげる場面。その優しい表情や手つきには、かすかな狂気や官能をたたえており、ゾクっとしました。こうした特殊な役柄を見事にこなした町田さんは、新境地を切り開いたと言えるでしょう。NHK大河ドラマ『西郷どん』の小松帯刀役も含め、持って生まれた「華」を感じさせる俳優さんです。

 セリフなし。寡黙なテツオ役の鈴木伸之さんは、雄たけびやうめき声以外に言葉を発しませんでした。いつもうつむいているから、表情も見えたり見えなかったり……。そんな難役を「姿」と「気」で演じ切りました。暴力行為の行き着く先は破滅しかないと分かっている。しかし、自分としては別の選択肢はない。そんな切なさと覚悟が画面ににじみ出ていました。目を引いたのは、大柄な体を折り曲げて祖母の車いすを押し歩き、繰り返し現れるヤクザ者とやり合うという設定。個人的には、『子連れ狼』へのオマージュを感じると同時に、祖母は「菩薩ぼさつ」のような存在なのではと解釈しました。バイオレンスの権化のようなテツオに対し、意外に嫌悪感がわかないのは、こうした“仕掛け”のせいだった気がします。

 ヤクザ者のリーダー格・山下役の秋山真太郎さんはとっぽさが秀逸。制作面でもアソシエイトプロデューサーを務めました。コンビを組む金城役の八木将康さんは、「2番手」感が絶妙。世良役の小澤雄太さんと滝口役の小野塚勇人さんはアクションシーンが光りました。ラーメン店店員・前島役の佐藤寛太さんは“差し色”のような効果。ヒロシ(青柳翔)の付き人・港町役の野替愁平さんは、独特のあやしさが出色でした。

 ヒロシ(青柳翔)を監禁する向井昌子役の筒井真理子さんは、まさに“怪演”。冒頭の衝撃シーンからラストまで、クセと味のある演技を見せ、影の主役と言っていい存在感を発揮しました。特に、身動きのとれないヒロシに、陶酔し切った表情で自分に向けた曲づくりを強要するシーンは、見どころの一つです。

 あ、そうそう。因果応報。ヒロシ、タケル、テツオはもちろん、昌子にも、他の登場人物にも、あります。どんな? それは観てのお楽しみということで。

 SABU監督は脚本・編集も手がけ、独自のワールド全開の作品に仕上げました。インパクトを感じたのは、やはり疾走感。スピード感のあるシーンや、テンポのいい会話、場面転換のリズムの良さが際立ちました。加えて、登場人物の説明らしい説明はあえて避け、エピソードを前へ前へとつなぐことにより、グルーヴ感を生み出しました。上映時間は102分と短め。その端正さ、潔さは、因果応報の結果と相まって、特異な余韻を残しました。笑いを絶妙に織り交ぜ、エンターテインメント性を持たせるのはお手のもの。今作はナンセンス、ブラック、アングラ的要素のミックス具合が抜群でした。全体としてトリッキーであり、バイオレンスシーンが少なくないにもかかわらず、ある種のすがすがしさ、楽天性を感じさせるのは、こうした手法によるものであり、さすがとうなりました。

 門司港レトロ地区、アーケード、商店街、病院、通り……。ロケは北九州市で行われたので、作品には市民の皆さんおなじみの場所が次々に登場しましたね。実はわたくしも北九州市に住んでいたことがあるので(二度にわたり計6年)、<あ、あそこだ!><ここ、いい場所なんだよねぇ>と細かく“反応”しながらエンジョイしました。思わず声が出そうになったのは、前島(佐藤寛太)がつくったラーメンを、タケル(町田啓太)と山下(秋山真太郎)、金城(八木将康)の3人が食べるシーン。画面の奥に、わたくしも何度となくくぐったのれんが見え、ほろにがい青春がよみがえったのでした(苦笑)。

💥 👊 💥 👊 💥

 劇団EXILEのメンバーとSABU監督は、12月1日の公開前後に福岡を訪問。取材に応じたり、舞台あいさつをしたりしました。その様子も近くお届けします。

 公開初日には早くも、『jam』の続編制作が発表されました。次はどこでロケをし、どんな作品になるのか、今から楽しみですね♡

 全国の上映館など詳細は、『jam』公式サイト(https://ldhpictures.co.jp/movie/jam/)をご覧ください。

『jam』

公開日
2018年12月1日(土)
キャスト
青柳翔、町田啓太、鈴木伸之、秋山真太郎、八木将康、小澤雄太、小野塚勇人、佐藤寛太、野替愁平、清水くるみ、筒井真理子
監督・脚本・編集
SABU
エグゼクティブプロデューサー
EXILE HIRO
プロデューサー
宮崎聡、清水洋一、中林千賀子、小河原修、江良圭
アソシエイトプロデューサー
秋山真太郎

音楽:松本淳一、撮影:柳田裕男、照明:宮尾康史、録音:飴田秀彦、美術:林チナ、装飾:須坂文昭、衣装:小磯和代、メイク:橋本申二、特殊造形:中田彰輝、VFX:小坂一順、アクション:小池達朗、ガンエフェクト:遊佐和寿、助監督:石川浩之、湯本信一、製作担当:板井茂樹、キャスティング:東平七奈

製作
LDH JAPAN
制作
ディープサイド
配給
LDH PICTURES
広告

コメントをどうぞ