[こころのぉと]エアメール

 2月下旬の日曜日。夜、ホテル1階のコンシェルジュのもとに、40歳代後半のシンガポール人男性がパニック状態で相談に来られました。宿泊のお客さまで、「持病のある母親の容体が悪い。薬は自宅に忘れてきた」とのことでした。

西鉄グランドホテル。格式、落ち着きが漂う
西鉄グランドホテル。格式、落ち着きが漂う
 女性コンシェルジュが男性とともに部屋に駆けつけると、お母さんは脂汗を流し、おなかをおさえ、座り込んでおられました。とても苦しそうでしたので、救急車を呼ぶことを提案しました。ところが、お二人は「救急車はいや」とかたくなで、「どこか近くの病院に」と希望されました。そこで、息子さんを落ち着かせながら、お母さんから痛み具合や持病の薬などについて詳しく聞き取りました。

 すぐに福岡県救急医療情報センターに問い合わせ、紹介していただいた病院に電話しました。しかし、日曜の夜ということもあって連絡がつかなかったり、「英語はちょっと……」と受け入れてもらえなかったり。それでも、5か所目の病院が「何とか診てみましょう」と快く受け入れてくださいました。お二人とも日本語はまったく話せないため、名前や国籍、容体、持病の薬といった情報は女性コンシェルジュが病院に伝え、手続きを済ませました。

 病院で処方された薬はすぐに効いたそうです。お二人は数時間後、元気にホテルに戻ってこられました。医師からは「診察が遅れていたら、入院する事態になっていた」と言われた、とのことでした。

 翌日、お二人はご同行のご家族と一緒に丸一日、福岡観光を満喫され、翌々日には笑顔でチェックアウトされました。

 1週間もたたないうちに、総支配人あてに1通のエアメールが届きました。男性からでした。

「異国の地で、あんなに親切な人に出会うことができ、とてもうれしかった。私たちを助けるために最善を尽くしていただき、心から感謝しています」

by 西鉄グランドホテル(福岡市中央区大名)
ホームページ http://www.grand-h.jp/

<コンシェルジュ>
 フランス語で「ホテルの外出案内係」を意味する。観光案内や交通機関の切符手配、コンサートチケットの入手、ビジネスのサポートなど、宿泊客の要望に応え、ありとあらゆるサービスを提供する。

<写真はいずれも西鉄シティホテル提供>

こころのぉと
 特別じゃない。けど、ずっと温かい――。心が響き合ったエピソードを、仕事の現場から届けてもらいます。
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