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大橋西鉄名店街(福岡市南区)が大規模リニューアルオープン! 開業40年で初めて コンセプトは「Railway Oasis」

大橋西鉄名店街 西鉄大橋駅に隣接する商業施設「大橋西鉄名店街」(福岡市南区)が開業から40年を迎え、運営する西日本鉄道が初の大規模リニューアルを進めています。5月11日には第1期として、南区では初出店となる5店舗を含む12店舗が開店しました。グランドオープンとなる第2期開店は来年春の予定です。
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第1回「松屋」(太宰府市) 京都脱出の勤皇僧月照をかくまった薩摩藩定宿

一筆啓上

 どれほどの回数、太宰府天満宮を訪れたか、まったくもって、わからない。七五三のお宮参りでは、椅子から転げ落ち、おでこにバッテンの絆創膏を貼った晴れ着姿の写真が遺っている。保育園、小学校では遠足、高校、大学受験でも合格祈願でお世話になった。遠方の来客も、太宰府天満宮に案内すれば、満足される。

 そんな太宰府天満宮が明治維新の策源地であったと知るのは、ずいぶんと後のこと。まさか、あの西郷隆盛、坂本龍馬までもが太宰府天満宮を訪れていたとは、驚きだった。一般には、「学問の神様」として知られる太宰府天満宮。それだけに、幕末維新史に関係する社とは思いもしなかった。しかし、幕末維新史、近現代史に視点を置いて太宰府天満宮を眺めると、あるわ、あるわ。従来、気にも留めなかった場所に、いくつもの宝物を見つけた。

 そんな宝の山を掘り下げるにあたり、即座に思いついたのが「松屋」だった。西鉄太宰府駅から続く参道に面し、目につくのが「旧薩摩藩定宿」の看板。店内に入ると、西郷隆盛(吉之助)、大久保一蔵(利通)、平野國臣、勤皇僧月照の書などが無造作に掲げてある。「維新の庵」の額に、庭には月照の歌碑も。

 連載を始めるにあたり、自身の直感を信じたのだった。

太宰府天満宮門前町の茶店 月照の歌碑、「旧薩摩藩定宿」「維新の庵」の看板 月照は福岡藩士・平野國臣に伴われ、薩摩に逃げ落ちるが……

 太宰府天満宮といえば、学問の神様こと菅原道真をまつる社として全国に知られる。合格祈願で訪れる受験生に加え、近年は外国人観光客の姿が目立つ。さらに、幕末維新史に興味を抱く歴史ファンも訪れるようになった。

松屋の並び、左隣は長州藩指定宿

 この歴史ファンの目当ては、参道入り口に近い「松屋」である。一見、門前町のどこでも目にする茶店だが、ここは勤皇僧月照がかくまわれていた場所だった。京都清水寺の月照は安政5年(1858年)、いわゆる「安政の大獄」によって徳川幕府の嫌疑の対象となった。京都を脱出し、庇護ひごを求めて薩摩(鹿児島)へと西下したが、その途中で滞在したのが「松屋」だった。

松屋の外観

「維新の庵」額と薩摩藩定宿(松屋)

薩摩藩指定宿(太宰府天満宮参道松屋) 店の右手奥に喫茶室があるが、さりげなく「旧薩摩藩定宿」の看板が立てかけてある。菅原道真の平安時代から、幕末へと一挙に意識が飛躍する瞬間でもある。さらに、その手跡が京都清水寺もり清範せいはん貫主であることから、俄然、目が輝く。あの年末恒例の「今年の漢字」を書かれる方だからだ。

 もうひとつ、喫茶室の入り口頭上にも注意を向けたい。「維新のいおり」と黒地に金箔きんぱく文字が浮かび上がる看板が掲げてあるからだ。実に、太宰府天満宮は維新史に関係があったのだと主張しているかの如く。手跡はやはり、先述の森貫主だが、平成2年(1990年)に書かれたものという。間もなく明治維新150年になるが、いったい、この太宰府天満宮と維新史に何が関係しているのか。それを探るべく、はやる気持ちを抑えて喫茶室へと進む。

松屋「維新の庵」看板

 しばし、こけむした庭に目を奪われる。しかし、徐々に気持ちが落ち着くと、壁に掲げてあるパネルに気付く。そこには月照の和歌があった。

 「言の葉の花をあるじに旅ねする この松かげは千代もわすれじ」(月照)

月照の歌碑色紙

 この月照の歌は庭の石碑にも刻まれている。

月照の歌碑

 さらに、薩摩藩定宿であったことを示すものとして西郷吉之助(隆盛)、大久保一蔵(利通)の書簡(レプリカ)。月照を薩摩まで送り届けた福岡藩士の平野國臣の手跡までを目にするとは思いもしなかった。

 平野國臣に伴われ、ようやくにして薩摩に逃げ落ちた月照だったが、安政5年11月16日、西郷に抱かれて錦江湾に入水し果てた。この西郷の決死の決意が引き金となって、日本の維新は大きく動き出したのだった。


 明治維新150年――。近現代史に詳しい歴史作家・書評家の浦辺登さん(福岡在住)に、福岡県内全域を対象に、幕末から現在までつながる維新の秘話を紹介してもらいます。

筆者プロフィル

浦辺登さん

浦辺うらべ のぼる 歴史作家・書評家
1956年(昭和31年)、福岡県生まれ。61歳。福岡大学ドイツ語学科在学中から雑誌等への投稿を行う。オランダ系生命保険会社勤務、財団法人日本プロスポーツ協会事務局長を経て、日本近現代史を中心とした執筆・講演活動に入る。現在、福岡の偉人の足跡を伝える講座を黒田家ゆかりの圓應寺(福岡市)などで開講し、新聞・雑誌で書評を担当。2017年6月から読売新聞の福岡県地域版で「維新秘話」を連載しており、18年4月からは福岡市のソラリアステージで開講中の「よみうりSPACEラボ」講師を務める。著書は『玄洋社とは何者か』『東京の片隅からみた近代日本』『太宰府天満宮の定遠館』(いずれも弦書房)など。学校現場を含め、講演多数。「福岡先哲の会」主宰。
 「浦辺登の福岡維新を歩く」は、読売新聞の福岡県地域版の連載企画「維新秘話 福岡」(連載中)に掲載された記事をもとに、新たな文章や写真などを加え、レイアウトも大幅に変更して再構成したものです。

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